【外国語学部】京丹後から-地域活性化を考える-

2022.12.27

ゲストスピーカーの村上氏

外国語学部「ツーリズム論Ⅱ」(担当:原田 由子 教授)は、時代や社会の変化、価値観の多様化に伴い影響を受ける観光産業の動きからツーリズムに対する理解を深める授業を行っています。
今回の授業ではANAあきんど株式会社から京丹後市観光公社に出向し、観光PR担当をされている村上 将朗(むらかみ まさお)氏をゲストスピーカーにお招きし、観光業界だけでなく日本でも大きな課題となっている「地方創生」をテーマに、京丹後市の例を挙げながら詳しくお話いただきました。

(学生ライター 文化学部1年次 武田 依央梨)


本講義では、京丹後市の観光事業や取り組みを基に、地域活性化について説明されました。村上氏は1年9ヶ月前から京丹後市に暮らし、京丹後市観光公社の企画販売部でお仕事をされています。
講演を受け、グループディスカッションが行われた
京都府の北部に位置する京丹後市は日本海に面し、夕日ヶ浦、立岩をはじめとする自然の観光スポットや、蟹などの魚介類、メロン、梨などの果物など、様々な特産品があり、市全体が豊かな自然にあふれた美しい場所です。しかし、京丹後市では進学・就職などで若い世代が市から出てしまうことで少子高齢化が進んでいるという現状があります。このような少子高齢化問題は京丹後市にとどまらず日本各地の自治体でも大きな課題となっています。村上氏がある山村地域の住民に伺った話では、昭和30年代には約1,500人いた人口が今では約150人に減ってしまったことで、商店がなくなり、管理者がいなくなった田んぼが荒れ果てそこに野生動物がすみ着き、インフラ整備の手も届きづらくなったそうです。
「地域活性」というと地域が賑やかになり観光が盛んになるというイメージもありますが、何よりもその地域に「人が定住する」ということが大事なのだそうです。
担当教員の原田教授と受講生
「地域活性」の1つの側面として観光も重要です。京丹後市の観光形態の特徴として二季型観光があげられます。夏は海水浴、冬は蟹を食べに多くの観光客が訪れます。しかし課題として、海水浴、蟹は天候に左右されやすい、旅館などの観光事業者は通年で安定した雇用を維持しづらい、人材確保がしづらい、という点があげられます。今後の課題解決策として京丹後市の認知度を上げること、現在の夏季、冬季の高水準を維持しつつ、春と秋にも集客が出来るようにしていきたいそうです。
また、観光地として誘致しPRするにあたり、どこに重点をおいて何を発信するのか、ということはとても重要になってきます。そこで京丹後市では幅広い世代を対象に、「旅行を決めるきっかけは何か」、「京丹後市のホームページの中で何に目を引かれたか」などインタビュー形式の定性調査を行い、結果を基にキャッチコピーなどを決定し、InstagramやFacebookなどのSNSや公共交通機関の広告を作成する、という取り組みが行われています。
村上氏は今後の展望について、「観光業を通じて旅行客と地域の人たちがイキイキとすること、元気になれる、刺激的な雰囲気に触れたいという目的で京丹後市にたくさんの人が訪れること、相互関係の中で観光業が発展していってほしい。」と語られました。

「地域活性」と一言で言っても地域の抱える課題や観光事業における課題を1つ解決することはたやすい事ではなく、まず地域全体でいかに地域を盛り上げ、そこから地域外に向けどのような発信をしていくのか考える、ということの難しさが伝わる講義でした。同時に京丹後市の美しさに感動し、村上氏が終始、京丹後市に対する思い入れや愛情を持って熱心にお話をしてくださっていたのが非常に印象的でした。皆さんも自然豊かで美しい京丹後市に、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
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