秦めぐみ氏が語る「京町家の継承と暮らし」

2021.08.06


京都市登録有形文化財に登録されている秦家住宅
共通教育科目「京都の伝統文化」は長い歴史と四季折々の自然を持つ京都に対する理解を深めその文化への関心を促すため、伝統文化を専門とする教員と各分野のゲスト講師が講義を行うリレースタイルの授業です。
12回目の今回の講師は京都市登録有形文化財に指定されている秦家住宅にお住まいの、秦 めぐみ 氏です。「京町家の継承と暮らし」と題して、京町家の魅力やその暮らしと地域とのつながりについて講義されました。
(学生ライター 国際関係学部2年次 竹本逸美)
オンラインで学生に向かい講義する秦氏
看板から当時の雰囲気を感じることができる
中庭へ光と風が薄暗い中に入ってくる
秦氏は町家の一番好きなところは「庭の存在」であると話しました。
大きな敷地を構える表屋(おもてや)造り形式の秦家住宅は、母屋と店舗棟を玄関棟でつなぐ大店(おおだな)タイプです。店舗棟に入ると右手に平格子(ひらごうし)が並び、表通りからの喧騒を感じることができます。奥の母屋棟へと玄関から30mほどまっすぐ伸びる土間は通り庭と呼ばれ、物や人の出入りはこの通り庭1つで行われます。母屋の玄関からは、薄暗い中に光と風を感じられる坪庭が目に入ります。主人の部屋とされる座敷は母屋棟で1番厳粛な場所ではありますが、年中催事の際には晴れの空間として使われます。座敷に面して広がる奥庭は季節の移ろいを見せてくれます。

季節の移ろいを感じることのできる奥庭
ダイナミックかつ巧みな京都の技術が集約した装飾を纏った静の祭りと呼ばれる山鉾巡行
オンライン上での質疑応答に答える秦氏と吉澤教授
秦氏がお住まいの地域では祇園祭を中心に1年が回っており、祭の季節になると町家の外観はガラッと変わります。6月の下旬に建具替えを行い、町家は夏座敷になります。八坂神社の神事である祇園祭では山鉾巡行は静の祭り、神興(みこし)は動の祭りと言われており、中心である神輿は神様が人間界へ降りてきてくださるようなイメージで神様を先の祭りと後の祭りでお迎えします。神事である祀(まつり)の準備の中で粧(よそおい)、景(けい)が飾(かざり)によって変わります。昔は観光客も少なく静かなお祭りでしたが、今は多くの観光客で賑わうようになりました。時代の移り変わりの中で近隣のマンションの住民の人々と連携、協力して祀を継承していく様子も見られ、同志社大学のグリークラブの合唱が巡行前の伝統にもなっているそうです。このように祇園祭は地域の人々との交流を深めるイベントでもあります。
季節の移ろいやお祭りの雰囲気を感じる京町家の暮らしは、想像力を働かせて季節を感じ、お祭り気分を味わうことで、明るく生活できると思いました。コロナ禍の現在、今あるもので楽しみを見つけるという考え方に寄り添ったものであると感じました。
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