京都の伝統文化「日本画」について奥村美佳氏が講演

2021.06.23

オンラインで講義を行う奥村氏
共通教育科目「京都の伝統文化」が2021年5月19日、オンラインで実施され、日本画家の奥村美佳(おくむら みか)氏が登壇し、日本画の歴史や自身の作品について講義が行われました。

奥村氏は京都市立芸術大学の准教授で、現代の京都画壇を代表する若手女性画家のひとり。京都造形芸術大学で日本画を学び、桃源郷をテーマに京都で作品の制作・発表を続けておられます。

講義はまず日本画の歴史や歴史上の日本画家についての解説からスタート。「日本画」とは、明治時代に西洋から伝わった「油絵」に対抗するために生まれた名称ですが、日本画に用いられる技法、特徴はずっと古くから存在していたのだそうです。日本画は、平安時代に絵巻物と同時に生まれた大和絵が始まりであることを紹介されました。大和絵の特徴として①装飾性、②豊かな色彩、③余白の3つがあり、この3つの特徴は、鎌倉時代の似絵(肖像画)、室町時代の障壁画、江戸時代の琳派、現代日本画へと受け継がれている重要な要素だそうです。次に、日本画の大家である円山応挙について説明されました。円山応挙は弟子が師匠の絵を真似て描くという手法から目の前のものを見たままに描く「写生」を生み出し、日本画の元祖とも言われています。その他、京都画壇を代表する竹内栖鳳、上村松園、福田平八郎などの名を挙げ、それぞれの作品について詳しく解説されました。

続いて、日本画の画材について説明されました。日本画の画材は鉱物、珊瑚、土、貝などの自然物が使われ、接着剤と顔料が別になっていることが特徴です。接着剤の役割を果たすのは、動物のたんぱく質を煮た膠(にかわ)。そして、顔料は岩絵具が使われ、青磁色(せいじいろ)、美群青(びぐんじょう)、群青色(ぐんじょういろ)といった伝統的な日本独自の色の呼び方があります。鉱物の砕き方によって濃淡に違いが出たり、鉄分を多く含んだ土を使うと赤くなったりと、同じ素材でも地域や加工によって細かな違いが生まれるのだそうです。白色には貝殻を加工した胡粉(ごふん)と呼ばれるものが使われます。胡粉の扱いは非常に難しく、上手に扱えるようになると、日本画家として一人前と認められるそうです。黒色の墨にも様々な色があり、墨の個体、硯(すずり)、水によって微妙な違いが生まれることから、「墨の世界は非常に奥深い」と奥村氏。

講義の後半では、具体的な日本画の描き方について言及されました。日本画では、自分の感動したものを写し取る写生が基本だそうです。写生は作家によって様々な手法がありますが、「ただ単に見たものを図鑑のように写し取るのではなく、自分の創造を絵に表現することが大切」と話されました。さらに、ご自身の作品「かなた」「かくれ里」に触れました。「かなた」は「水平線への憧れ」をテーマに、伊勢湾に浮かぶ島々の集落を題材にした作品。夕方の海と集落を1つの画面に収めた絵は西洋画のような雰囲気を持つといいます。次に「かくれ里」のかくれ里とは、中国の詩人陶淵明の「桃花源記」に登場する平和な里のこと。奥村氏はこの物語に影響を受け、日本の里にかくれ里を発見されました。「自然に手を入れて管理することで守られた里山の美しさや人と自然との調和を表現したかった」と奥村氏。作品を完成させ展覧会で発表した後には、本の表紙、目次絵、小物のデザイン、襖絵になるなど様々な場面で利用されているそうです。
奥村氏の作品かなた(左)とかくれ里(右)
講義の最後に、オンラインで受講生との質疑応答が行われました。学生から「奥村先生の風景画に人が描かれていないのはなぜか」という質問があり、奥村氏は「見る人が自分の絵画に入り散歩できるような作品にしている」とこだわりを明かされました。
奥村氏は最後に、「日本画は平安時代の大和絵から脈々と受け継がれたもので、長い伝統の上で私たちは絵を描いている」と伝統の重要性を強調されました。
オンラインで生徒の質問に答える奥村氏と吉澤教授


今回は「京都の伝統文化」を取材しました。授業では、様々な日本画のスライドが登場し、それに合わせて奥村氏の詳しい解説を聞くことができ、とても楽しい講義でした。今後さらに文明化が加速し、生活が変化していく中で、どのように平安時代からの伝統を継承し日本画で表現するのか。受講生には今後の日本画に注目してもらいたいです。

 (学生ライター 文化学部2年次 橋本 健太)
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