【外国語学部】留学体験記が届きました(古閑 雪美 さん グライフスヴァルト大学)
2023.03.22
外国語学部ヨーロッパ言語学科ドイツ語専攻 4年次 古閑 雪美 さん
私は、2023年2月に約1年間のGreifswald(グライフスヴァルト)での交換留学を終えました。まずは、無事に1年間の留学を頑張り抜くことができ、日本に笑顔で帰ってこれたことが嬉しいです。また支えてもらった多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
この1年間は、自分と向き合えた、本当に大切な時間となりました。寂しくなったり、悲しくなったり、不安になったり、時には嬉しくなったりと、色々な感情になりながら、一日一日を楽しく笑顔で過ごしていく方法を考えていました。
留学がスタートしてすぐの頃は、誰かに助けてもらわないと何もできない自分が情けなく感じ、何もできない自分は一体何なんだと思っていました。このような状態なのに1年間もドイツで過ごしていけるのだろうかと真剣に思い悩みました。また、授業に最後までついていくことができるのだろうかと不安になりました。授業中に急に泣きそうになったり、なんの上達も成長もないまま日本に帰ることになるのではないだろうかと怖くなったりもしました。
初めの頃は友達が少なかったことや街の様子などについて、まだよく知らなかったこともあり、体が慣れていなかったからか、色々な不安で頭がいっぱいになり、部屋に帰っては一人で涙を流しました。それらの感情は、感じたことのないものだったので、今でこそ、そのような思いを抱えながら過ごした時間はかけがえのない宝物だと感じますが、当時の私にとっては本当に辛く、大変な日々でした。
でもそのようなときは、「助けてくれる人がいる間は、とことんお世話になろう!ドイツの慣れない土地で健康に生きていられてるだけですごいことなのだから」と一人では何もできない自分を励ましたり、同じ期間にドイツに留学している友達に連絡して、ビデオ通話で不安に思っていることを相談し、お互いに励まし合って心のエネルギー補給をしたりしました。家族に連絡をして、普段通り面白い話をして、笑って元気をもらうこともありました。時には、京都産業大学で3年次生まで参加していた研究演習にドイツからオンラインで参加させてもらうこともありました。島先生やゼミの友人から、優しく、そして勇気が湧き出てくるような言葉をかけてもらったことで不安な気持ちとも上手く付き合うことができ、「今日も1日頑張れそう!」と前向きな気持ちでいられました。日本とドイツで離れているにもかかわらず、私のことを突き放すことなく、優しく支えてくださった方々に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
そのような寂しい気持ちや不安を軽くして、頑張る力をくれたのは、ドイツ語のクラスや他の活動でできた現地の友達の存在も大きいです。クラスの友達とは、授業で良く分からなかったところをお互いに教え合うことで、徐々に仲を深めることができました。特に仲良くなった友達とは、Wintersemester(京都産業大学の秋学期)の休みの日に小さなパーティーを開きました。そこでは、授業での出来事や、最近の恋愛トークなど、他愛もない話をしたり、お互いの今までの生い立ちや、母国や家族の状況、どうしてドイツに来ているのかなどについて、少し踏み込んだ話をしたりしました。
私は、授業での学生同士の会話や、このパーティーでの話を聞いて、すごく驚いたことを鮮明に覚えています。私以外の他国からの留学生は、母国では仕事の機会が少ないため、将来ドイツで仕事を見つけるためにドイツに来ていたり、母国の情勢が悪く、母国に残っていると自分の身が危険にさらされるためドイツに来ていたりと、彼らは「ドイツで生きていくんだ」という大きな決心と覚悟をもってドイツに来ていることを知りました。そのような学生が集まる環境で毎日授業を受けていると、「今回のレベルの高い授業は私にとってチャレンジだから、どんな結果になってもいい」という、甘い考えでいないで、私も、真剣に、「より良い結果を目指して頑張らなければならない、そうでないと周りの学生に失礼だ」と思うようになりました。それからは、1回の授業で多くの知識や学びを持ち帰ろうと、より集中して先生の話を聞いたり、積極的に自分の考えを話したり、疑問に感じたところはすぐ質問したりと、それまでよりも、もっと前向きに真剣に授業に取り組むことができました。他の学生についての話を聞くことは、自分自身と深く向き合うためにも大切なことだなと感じました。
Wintersemesterでは、そのような友達との深い関わりを通じて、より良い結果を残したいという思いを持って取り組んだ結果、ドイツ語語学試験「DSH-2」に合格することができました。(DSHとは、ドイツの大学に正規学生として入学するためのドイツ語能力試験のことで、DSH-2は、「DSH-3, 2, 1」と3段階ある合格レベルの上位2番目の成績です。)まずは、このような大きな成果を残すことができ、そしてここまでしっかりとやり切れたことがとても嬉しいです。喜びと同時に、今回は一番上のレベルには届かなかった少し悔しい気持ちもありますが、まだまだ上のレベルを目指して頑張りたいなと意気込んでいます。
また、Wintersemesterでは、30分間、自分が興味のあるテーマについてドイツ語でプレゼンテーションをするという課題があり、それを無事にやり遂げることができました。これも留学生活での大きな成果の一つです。30分間もドイツ語で話すなんてできるのだろうかと、想像するだけで恐ろしいと思っていましたが、準備を重ねるうちに、私が面白いと思っているテーマだし、他の学生にも聞いてもらいたいと徐々に思うようになり、不安よりも、楽しみながら準備を進めることができました。みんなの前に立っていざ話すと少し緊張もしましたが、私の話を真剣に聞いてくれる学生が多くいて、話していて楽しかったです。なにより、完璧ではありませんが、ドイツ語でなんとか説明できている自分が嬉しくて、発表が終わったときは、達成感で満たされました。この発表が大きな自信となり、発表後は、恥ずかしがることなく、先生や友達と積極的にドイツ語で話せるようになりました。
Greifswaldでの1年間の留学生活は、色々なことが起きて、様々な感情になり、大変でしたが、それでもすごく楽しかったと言える本当に素敵な1年間となりました。どこへ行っても周りからドイツ語が聞こえてくる環境は私にとって、とっても刺激的でした。また、世界中の友達と知り合い、その中で色々な考えに触れ、そこで得たものは、これからの私を支えてくれるものとなってくれると思っています。
今後は、今回の留学で培ったドイツ語を使って、ドイツ語圏の大学でドイツ語学を学びたいと考えています。ドイツ語はどのような言語なのか、また、ドイツ語を母語として話す人の考え方、日本語と、日本人との違いについてや似ている点を私の視点から深く研究したいです。今までよりもさらにレベルアップをした環境で、ドイツ語を使って、上手く表現できるのか、また、上手にコミュニケーションをとれるのかという不安や心配はまだ少しありますが、それでも、挑戦してみたら、新たな面白い発見や出会いがありそうだなとワクワクしています。そのために、まずは日本にいる間にできる準備をしっかりと進め、大学卒業後も勉学に励んでいこうと思います。
ドイツでの留学生活を紹介します
Greifswaldの街の中心部から少し自転車を走らせるとバルト海を楽しむことができます。留学を終える直前にここへ来て、海の音を聞きながら、1年間の留学生活を振り返りました。Greifswaldという本当に素敵な街で1年間過ごすことができて、幸せだったなぁと、この景色を見ながら感じました。
- 古閑 雪美 さんの留学中間報告記は こちら