角が所属するゼミは「国際ビジネスの複眼的アプローチ」をテーマに活動している。政治、経済、文化、宗教といった多面的な要素が複雑に絡む国際ビジネスをいかに捉え、どのように発展させるか。角たちは、ゼミ活動としていくつもの企業を訪問し、その企業の製品を用いた新しいビジネスの提案を重ねてきた。
「理想やアイデアばかりが先立つと、企業にとって最も重要視される利益に結びつかない。まさに複眼的な思考が試される現場です」
この日訪れたのは、京都に拠点を置く島津製作所。産業・医療・学術研究に関わる製品やサービスを世界に発信しているグローバル企業だ。プレゼンテーションに挑む角たちのグループが注目したのは、2022年6月にタイで大麻が合法化されたトピックだった。
“大麻”というタブーとされがちなキーワードをあえて掲げたのは、これまでのプレゼンテーションで培ってきた「枠にとらわれない学生ならではの柔軟な発想」からくるものだった。さらに角たちが踏み込んだのは、医療にも役立てるという点。
「タイについて調べるうちに、死亡要因の第1位が癌という事実にたどり着きました。それに対して大麻を使った治療が有効なことを知り、今回の議題と上手くかけ合わせられないかと考えたのです」
結果的に、この視点が企業にはなかったアイデアとして一番に評価されることとなった。
「あたりまえを疑って、違う角度からものごとを見直す。これが国際関係学部の学びの土台です。ゼミでの実践的な学びを通して、それは社会にも通用すると実感しました」
角は卒業後、コンサルティング会社に就職する。「一見、畑違いのようですが、国際関係学部で学んだスキルを生かして今まで企業にはなかった視点でアイデアをうみ出す。型にはまらない意見から企業の問題解決への一歩になると信じています」
撮影協力/島津製作所
※掲載内容は取材当時のものです。