文化学部では「ホンモノ」に触れて見聞を広めることを目的に、フィールドワークを盛んに行っている。
音楽・舞台芸術活動(ミュージカルなど)を専門に扱う田中里奈助教の授業では、京都市内の音楽バー「Hachi Record Shop&Bar」のレコード部署担当者をゲストに招き、音楽業界の動向やジャズに対するゲストの視点などについてディスカッションしたり、「KYOTO EXPERIMENT」の共同ディレクターをゲストスピーカーに招き、京都産業大学の施設「町家 学びテラス・西陣」でお話を聞いたりとアクティブだった。「KYOTO EXPERIMENT」は、国内外の実験的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を新たな形で結び付けることを目的とした京都発の舞台芸術祭。ゲストからは、メインテーマに紐づけられた主催者の思いから出演するアーティストの選出方法に至るまで、舞台を見るだけでは決してわからない制作・運営側の貴重なエピソードがいくつも語られた。
「中には、女性が妖精で男性が王子様……というバレエにお決まりの配役に共同ディレクターは納得がいかなかったり、観客が驚くような演出の作品をアーティストが作ったり。固定観念にとらわれず新たな作品が生まれていく現場は、とても刺激的だと感じました」と川村は語る。
田中助教の授業の核は「批評」を書くことにある。
尾﨑は語る。「批評を書いて感じたことは“考え方の共有とさらなる理解”だと思います。『自分はこう思ったんだけど、どう思う?』と読み手に訴えかけ、読み手はそれに対しレスポンスをし、さらに理解が深まったり、モヤっとしていたことが腑に落ちたりする。そんな力が批評にはあると思います」
フィールドワークを重ねるたび「自分の感性が豊かになっていくことを実感する」と2人は口をそろえる。
「視野が広がれば他者の意見も柔軟に取り入れられるようになる。シンプルですが、この強みは社会に出てからもきっと役立つはずです」
※掲載内容は取材当時のものです。