立川が所属するのは「日本庭園」をテーマに学ぶゼミだ。京都の西陣という街には歴史ある町屋を改修した大学の施設「町家 学びテラス」があり、いま立川たちは、ここにつくられた庭を「読み解く」ことに取り組んでいる。
庭といっても実は様々な用途、種類があり、例えば町家 学びテラスには実用的な水場や台所代わりにも使われてきた「通り庭」や、日常生活の中で眺めるための「前庭」、外に出て実際に歩いたり、季節の移ろいを感じるための「奥庭」まで3種類もある。そして、庭は時代や持ち主が変わるにつれ、石や木々の配置など必要なものが足されたり引かれたりもする。
このように「庭」を深く掘り下げ、昔の人がどのように草花や季節を愛でてきたのか、時代によって何が必要で何が不必要になったのか。ひいては何を楽しみとしていたのか。考え方や生活文化そのものが浮き上げってくる。それはまるで『庭』を通して昔の人と対話しているようにも感じることも。
その対象が現代に暮らす人か過去に暮らしていた人か、あるいは外国人か名著を残した作家かといった違いがあるだけで、「結局のところ文化の学びとは、本や建築、あるいは言語を使って誰かと対話することではないか」と立川は考えるようになった。
それが「何かと何かをつなぐ」ことであり、異文化理解の第一歩。「文化を通してコミュニケーションをとる術を学ぶのが、今は楽しくて仕方ないです」。
※掲載内容は取材当時のものです。