キャンパスの中で、グローバルな出会い。
2024.04.01
いつも口元をキュッと結び、部活も勉強も1人でこなす。生真面目で融通がきかない。新原はそんな性格だった。
彼女が3年次に参加した「理工系コーオプ教育プログラム」は、企業と大学が一体となって取り組む理工系学生向けの取り組みだ。新原は京都五山の送り火にも使われるアカマツ林の再生活動に参加しながら、小学生向けの環境教育イベントを開催するチームプロジェクトに加わった。
準備からイベント当日まで約9カ月。全てをゼロから作り上げるのがプログラムの要であり、困難を極める点だ。考えるべきことは山のようにある。3年間同じ授業を受けてきたメンバーだ。お互いの性格を知っていたからこそ、新原は今までどおり「真面目な仕切り役」に徹しようと考えていた。ところが、プロジェクトを始めてみて驚いた。「メンバーのアイデアで、プログラムがグンと良くなる場面が何度もあったんです」。彼女にはそれが何より心強く、自分の役割が明確になる機会でもあったという。「私は状況を整理する役。アイデアのたたき台を出して、課題を考える。それを磨き上げたり、話をわかりやすくしたりするのは、もっと得意な人がいます」。
このプロジェクトは、新原がいつか挑むことになる舞台に続く最初の一歩だ。先の見えない困難な状況で、何をすべきか。仲間とどう動くべきか。1人黙々と研究を繰り返すのとは違う、人と人を結び、生み出す仕事の価値を、新原は身をもって実感したのだ。
※掲載内容は取材当時のものです。