特別展「きょうの珈琲さんぽ」はどのような展覧会ですか?
吉村さん:総務省が過去に実施した「家計調査」によりと、京都府は一人あたりのコーヒー消費量が日本一であることから、京都のコーヒー文化に関する展示を行います。コーヒーの起源から歴史を辿り、京都にコーヒーブランドが定着していったきっかけを老舗喫茶店やカフェへの取材をもとに紹介。体験ブースではVR(バーチャルリアリティ)を使って、昔ながらの喫茶店や現代らしいカフェを疑似体験できるなど、老若男女問わず楽しんでいただける内容を考えました。
展覧会を実施する上で感じた難しさなどはありますか?
上田さん:私は同年代の方はもちろん、ご年配の方にも楽しんでもらいたいと、VRを用いた映像を制作しました。実際に喫茶店の雰囲気をを疑似体験してもらうための映像は、動きを再現するのにとても苦労しました。来館された方が入店してからメニューが運ばれてくるところまでを映像化したのですが、お客さんの目線に合わせようとすると、自分の頭の上に専用のカメラを乗せて撮影しなければいけません。実際に店内を歩く動きをリアルに再現するため、歩く速度も一定に保つよう気をつけました。360度の景色を映し出すことのできるVRだからこそ、一つ一つの動作に注意をはらい制作しました。
吉村さん:私はお店への取材を通して相手の話を聞くことの難しさを感じました。事前に質問の用意をして取材に臨むことはもちろん欠かせないのですが、実際に取材がスタートするとその時々で新たな疑問がわくことがあります。相手の話を良く聞き、意図を汲みながらも、感じた疑問をクリアにしていく、その繰り返しのやり取りをすることで、聞く力が身についたと実感しています。
上田さん:さまざまな場面で難しさを感じましたが、コーヒーの奥深さや、家で飲むコーヒーとは違う、その空間で飲むからこその味わいや居心地の良さを伝え、実際にお店に足を運ぶきっかけをつくりたいという思いで各自取り組みました。私たちと同年代の皆さんにもぜひ、それらを感じてほしいです。
展示の中で特に印象的だったことを教えてください。
吉村さん:実際に老舗喫茶店のオーナーに取材した際、「カフェも喫茶店もあっていいと思う。喫茶店ではカフェとはまた違った空間を楽しんで欲しい。」と若者の喫茶店離れについても前向きに話す姿がとても印象的でした。この展覧会では、コーヒーの歴史や豆知識などコーヒー自体の情報はもちろんですが、関わる人々の思いなども展示を通して伝えたいと思っています。
最後に、イベントの告知をお願いします。
1月15日(火)〜3月9日(土)まで京都産業大学ギャラリーにて特別展「きょうの珈琲さんぽ」を開催しています。足を運んでいただき、コーヒーの奥深さなど、ここでしか味わえない空間を体験してみてください。詳細はインスタグラム(
kyouno_coffee_sampo)でも紹介しているので、こちらもぜひご確認ください!
※掲載内容は取材当時のものです。