この取り組みではどのようなことをしているのですか?
浅野さん:動物園の方たちの手助けになることは、何でもさせていただいています。ゴリラの写真展示の告知ポスターを貼るお手伝いからスタートしました。もともと動物に興味があったので、できることは何でもやってみたいという気持ちで参加させていただいています。
田中さん:動物園の仕事というと、飼育をイメージされると思いますが、それだけではなく「動物園ではこんなことをしているんですよ」という情報発信も大切なんです。そのためのポスター制作などを手伝ってもらっています。チンパンジーの「学習室」では、研究活動の補助として浅野さんに餌を並べてもらったりしています。その間私はデータを取ることに集中できるので、浅野さんに手伝ってもらうことで、スムーズに研究を進めることができています。何でもやりたいと言ってすすんで取り組んでくれるので、とても助かっています。何事にも興味をもって取り組んで、合格点以上の結果を出してくれる、非常に優秀な学生だと思いますよ。
この活動でのやりがいは何ですか?
浅野さん:大学のキャンパスでは体験できない経験や学びができることです。田中さんをはじめ、スタッフの方々はみなさん多彩な経歴をお持ちなので、そのお話を聞くのがとても面白いですね。ゴリラやマンドリルの写真を撮影するために実際に海外へ行った話や、そこで象にカメラを踏まれてしまった話など、リアルな体験談が聞けます。また、作業中にその動物について細かく質問ができるので、知識も深まりました。チンパンジーでいうと、人間とチンパンジーの行動の違いやコミュニケーションのとり方、京都市動物園に5頭いるチンパンジーの関係性などについてたくさん質問しました。知らないことばかりなので毎回新しい発見があります。
田中さん:ここで一緒に働くスタッフたちの中には、アフリカに滞在して森の中でテントを張って生活してきたような人もいるので、刺激的だと思いますよ。大学のキャンパス内ではあまり会うことのないタイプの人間でしょうから、その点でも良い経験になっているのではないでしょうか。
活動の中で意識していることなどはありますか?
浅野さん:興味を持ったことに対しては、まず行動しよう、チャレンジしようと思っています。やりたいと思った気持ちをそのままにしないで、誰かにその思いを話してみたり、関係する人に会いに行ったり。その行動が上手く人と人を繋いで、さまざまな経験をさせてもらえているのだと思っています。今回の活動でも、動物の世話に興味があることをGSCを担当されている先生にお話したことがきっかけになり、京都市動物園さんを紹介していただくことができました。もともと動物好きということもありましたが、大学で学ぶうちにもっといろんな経験をしたいという思いも膨らんでいたんですよね。大学で
グローバル・サイエンス・コース(GSC)に入ったのも、中高生時代に外国というものに漠然と憧れを抱き、このコースに入って海外に行きたい!と思ったからです。実際に海外に足をのばすと、世界が広がり、やりたいこともさらに増えました。インドへ留学したり、日本に来ている留学生たちと交流したり、異文化交流を楽しみながら興味を持った方へどんどん進んでいます。
京都市動物園として、大学とのコラボについてはいかがですか?
田中さん:私たちとしても、こういった大学とのコラボレーションは続けていきたいと思っています。京都産業大学さんとは浅野さんが初めての試みでしたが、すごくいい学生だったので、他の学生さんも期待できるなと思っています。京都産業大学の学生さんは意欲にあふれ、良くできるという印象を受けました。動物園としては、この場を教育資源として積極的に活用していただければと思っています。
今後の目標を聞かせてください。
浅野さん:今後は、今まで挑戦してきた活動やそこで得た知識をリンクさせて、自分の中でプラスの力にしていきたいと考えています。この動物園での活動は、私の研究テーマに直接的な関わりはないのですが、学外の方と関わるという点でコミュニケーション能力の向上を実感しましたし、私の中で将来に向けた大きな糧になっていると思います。今回、興味のあることに実際に取り組ませていただいたように、将来的にも興味のあることを仕事にできれば理想ですね。
田中さん:浅野さんは私から見てもとても優秀ですから、きっとどこへ行っても上手くやれると思いますよ。条件さえ合えばここで働いてほしいくらいです。きっとこの先も面白い学びがたくさん待っていると思うので、たくさんのことを経験してほしいですね。浅野さんの今後の活躍に期待しています。
協力:京都市動物園生き物・学び・研究センター
※掲載内容は取材当時のものです。