「巻物 賀茂神事 土佐光起真跡」の極札
「土佐光起真跡」の極札
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書名・責任表示賀茂神事 2巻 / 伝土佐光起画
製作年代[寛文・延宝頃]
著者標目土佐 光起 (1617-1691)
注記書名は題簽による
上巻: 470.0cm, 下巻: 472.0cm
2巻, 巻子装, 箱入
金銀泥極彩色画, 虫損あり
「巻物 賀茂神事 土佐光起真跡」の極札付
形態事項2軸 ; 32.5cm

解 説

「賀茂神事」(外題)上下二巻は、賀茂関係の神事を描いた奈良絵巻である。「土佐光起真跡」の極札がついているが確証はない。

現状では上巻下巻ともに、すべての紙継ぎ部分で絵が連続していない。二巻内の各紙はどれも相互に絵柄がつながらないため、補修改装時の貼誤りなどの錯簡は考えられず、かなりの切除ないしは脱落が想定される。あるいは以下の諸点から、当初よりこの形であった可能性もあるか。描かれている情景は、上賀茂・下鴨のいずれの神事とも異なっていて、具体的に何の神事か、明らかではない。社殿も一見して上賀茂・下鴨神社のそれとは異なっているが、御手洗川を描いており、絵師は賀茂社を意識していたらしい。あるいは、何らかの事情で、賀茂社そのものではなく、賀茂社になぞらえて描かれたものか。絵巻が樹叢ではじまり樹叢で終わっているのは、象徴的でイメージを重視したからであろうか。実際の賀茂社の祭礼行列とは、たとえば人物のほとんどが足袋をはいているなど、細部でさまざまな相違が認められる。具体的な祭礼行列の名を記さない、「賀茂神事」という外題も珍しい。あたかも賀茂社の祭礼らしく描かれた絵巻であろうか。

しかし、記録性や実録性には乏しいものの、こうした脚色性は、かえって祭礼風俗画としての印象を、観る者に強く感じさせて効果的である。製作年代は、寛文・延宝頃か。樹木の根の部分など、描き方や墨の入り具合に元禄期の特徴も見られることから、あるいは時期は、若干くだる可能性もある。謎の多い絵巻であり、今後の研究が待たれるところである。


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