特別研究

学生の4年間の学びの集大成
担当教員の指導のもと実験と研究を積み重ねる

「特別研究」では、担当教員の指導を受けながら実験と研究を積み重ね、ひとつの研究テーマを探究。試行錯誤を繰り返しながら、その成果を卒業論文にまとめ、研究発表を行います。

標準技術を活用したデータセンタ網管理のための研究開発

近年、クラウドコンピューティングをはじめ、ITシステムは複雑化の一途をたどっています。複雑なITシステムは実際には運用担当者の日々の努力によって支えられており、これら担当者の負担を少しでも軽くするためには、可能な限り運用を自動化することが望まれます。本研究ではさまざまなネットワーク機器を統合管理することが可能なSoftware Defined Network(SDN)などの標準技術を活用し、実用的なデータセンタ網の運用自動化方式について研究開発を行っています。

深層学習を用いた耐ノイズ性画像認識システム

深層学習の出現により、コンピュータの画像認識能力は人並みになったといわれていますが、まだまだ弱点があることも知られています。例えば、写真のようにノイズが入った画像でも、人であれば何が写っているのか認識できますが、一般的な深層学習を施しただけのシステムでは認識できません。卒業研究では、ノイズに強くなるための深層学習の方法を系統的に検討し、ある程度のノイズ耐性をもったシステムを構築することができました。また、深層学習は人工知能の中心技術となりつつありますが、学習ででき上がったシステムがどういうしくみで認識を行っているのか実はよくわかっていません。脳科学も学びながら、今回作成できたノイズに強い画像処理システムの構成要素を、脳が持つ画像特徴の検出器と比較することで、そのしくみを分析する研究も行っています。

Ruby on Rails による蔵書管理システムの構築

情報理工学部の教員は、図書館に蔵書されてない書籍を保有していることがあり、これらを学生が借りられれば学生の学習・研究に役立ちます。しかし、個人蔵書は貸借情報管理がシステム化されておらず、書籍の貸し出し先が不明となる危険性が高いため、その貸借はほとんどできていません。本研究では、この現状を改善すべく、教員が個人保有する書籍類をデータベース上で管理し、それらの教員と学生の間での円滑な貸借を支援するシステムの実現を目指しており、オープンソース・データベースMySQLとWebアプリのフレームワークとして著名なRuby on Railsを用いて開発を行なっています。

脳波から感情を読み取って画像提示に活かすブレインマシン インタフェースの研究

皆さんは、可愛い動物の写真を見たときに「近寄ってもっとよく見てみたい」と思ったことはありませんか。逆に、恐怖や不快を感じる写真に対しては、「早く遠ざかりたい」と感じると思います。この研究では、私たちが画像を見たときに抱く快・不快の感情をそのときの自身の脳計測データ(脳波)から読み取り、感情に応じた脳活動によって目の前の画像を自動的に大きくしたり小さくしたりするシステムを構築しています。このような、脳信号と機械・情報システムとを直接連携させる「ブレインマシンインタフェース」の研究を通じて、生体計測データを活用した新たなコミュニケーション支援ツールの開発に加え、脳の情報適応機構そのものの解明にも取り組んでいます。

負圧吸着力を用いた入力補助インタフェースの開発

タッチディスプレイを介した入力では、ユーザに対して振動や音などを提示することで、操作性を向上させています。しかし、振動などによる方法のみでは、ユーザに対して十分な操作感を与えることはできません。そこで、ユーザとディスプレイの接触部分の摩擦力を接触部分の空気圧を変化させてコントロールすることで、入力方向の補助や粘性感などの操作感を付与する装置を開発しています。将来的には、タッチペンや指輪型の装置に搭載することで、どんなディスプレイに対しても入力補助が可能なシステムの実現を目指します。タッチディスプレイを介した入力では、ユーザに対して振動や音などを提示することで、操作性を向上させています。

コスメアイテム評価表現辞書を用いた評価項目別レビュー自動スコアリング方式

コスメアイテムに対する既存のレビューサイトから得られたレビューを分析し、評価項目別の評価表現辞書を構築。構築した辞書に基づいた評価項目別レビュー自動スコアリングを行う手法を提案しました。これにより、対象となるコスメアイテムに関する詳細なスコアを提示することが可能となり、ユーザの商品選定を強力に支援できることになります。この研究では、辞書の構築およびこれを用いた自動スコアリング実験を行い、提案手法の有効性を確認しました。今後は、評価表現辞書の拡充を行い、さらなるスコアリング精度の向上を目指します。また本研究の成果をさらに発展させることにより、コスメアイテムに関するレビュー推薦システムの開発に取り組む予定です。

非同期分岐プロセッサ型蝸牛パーティションモデルとそのFPGA実装

私たちヒトを含む哺乳類は耳を使って音を聞いていますが、耳は単に音を脳に伝えているだけではなく、それ自体が高度な音声信号処理を行っています。特に耳の中にある蝸牛と呼ばれるカタツムリのような形状をした器官において、流体、膜、細胞などが連成して動作することにより、高度な信号処理が実現されています。本研究では、そのような耳の動作のしくみを再現するための電子回路の設計手法を提案しています。数学を使った理論解析、計算機を使ったシミュレーション、試作回路を使った実機実験を通して、提案手法の有用性を示します。

Gitを対象としたチュートリアルシナリオを変更可能なチュートリアルの開発

ソフトウェア開発に不可欠なツールの一つに、Gitなどのファイル管理システムがあります。それらのツールの学習のためには、実際に利用することが必要ですが、環境設定の難しさや学習の方向性を学習者自身が決めることが困難などのハードルもあります。またファイル管理システムには多くの機能があり、全てを網羅して学習することは非常に難しいです。そこで、ブラウザ上で扱え、かつ学習内容を教師が自由に組み替えられるチュートリアルを構築しました。これにより、手軽な学習が実現でき、また学習者のレベルに合わせた学習材料を用意できるようになります。

トロイ回路を検知する回路の挿入箇所探索方法

メッセージの送受信やショッピングに用いるスマートフォンはLS(I Large Scale Integration)を用いてさまざまな機能を実現しています。最新のLSIには数十億個というトランジスタが含まれ、トランジスタの組み合わせからなる回路はさまざまな機能を実現していますが、製造されたLSIの内部を詳しく調べることはとても難しいことです。そのため、製造されたLSIには隠された機能(トロイ回路)がある恐れがあります。そこでLSIの内部にトロイ回路が搭載されていないことを保証するしくみを開発しています。このLSIに追加するしくみは製造されたLSIの内部を容易に網羅的に調査可能とし、内部にトロイ回路が存在しないことを保証するものとなります。

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