先輩の学び
海外フィールド・リサーチ
フィールドリサーチでの多くの経験から
多様性を尊重する意義を理解。
多民族国家マレーシアでの「海外フィールド・リサーチ(1年次必修科目)」に参加し、現地の宗教や文化など幅広いテーマでマレーシア社会の多様性と伝統を学びました。現地の大学では、イスラム教の学修を行いましたが、モスクで礼拝の作法を教わった際に、日本の宗教観との違いを強く体感しました。また、現地のショッピングモールを訪れて気付いたのは、中華系の装飾が多く取り入れられていること。マレー系・中華系・インド系などの多民族が共生するために、日常的に互いの文化を尊重していることが分かりました。
陸路で国境を越えてタイに入国したときは、現地で出会った子どもたちとサッカーを通して交流。ボール1つで仲良くなった経験を通して、人種や言葉の壁を越えて理解し合うためのヒントを得られました。
3週間の滞在期間中、常に付き添ってくれた5人の現地学生スタッフからも多くのことを学びました。彼らの中にはイスラム教徒とシク教徒がいましたが、互いの宗教を理解し、尊重し合っていました。その光景を見て、世の中にある多様な価値観や宗教観を尊重することこそが、真の多様性理解であると気付きました。
「海外フィールド・リサーチ」での経験から、行動力が格段に向上し、1人で世界中を巡ることが目標となりました。さまざまなことを自分の目で確かめ、考え方や価値観などさらなるレベルアップをし、将来のキャリアにもその経験が繋げることができればと思います。その達成に向け、これまで以上に英語やグローバル・ガバナンスの勉強に打ち込んでいます。
国際関係学部 国際関係学科 2年次
前田 健介さん
※掲載内容は取材当時のものです。
百聞は一見に如かず。
海外での経験が学びの糧になります。
海外でビジネス英語を学びつつ、調査対象のフィールドに踏み込む。1年次必修科目「海外フィールド・リサーチ」は一見ハードルが高いように見えますが、舞台がしっかり用意されているので、私たちは飛び込むだけでした。
訪れたのは、アメリカのアリゾナ州にあるフェニックス。一番思い出深いのは、都市部でクラフトビールのブリュワリーを経営し、成功している女性経営者のもとを訪れ、インタビューしたことです。アメリカのクラフトビール業界は男性社会で、女性経営者はとても珍しい。「自分が切りひらくことで、女性がもっといきいきと働ける業界にするのが役目だ」と話してくれました。
リサーチする中で、男性と女性という対立軸をどう凌駕するかという彼女のスタンスはとても勉強になりました。またホームステイ先は敬虔(けいけん)なモルモン教徒で、宗教対立についても深く考えさせられました。帰国後はリサーチ活動での興味を発展させて、ゼミで扱う研究テーマを「国際社会における対立を共存」とし、宗教や異文化の分野を軸に進めようと思っています。
他の国に足を踏み入れることで、多くの異質なものに触れ、向き合うことから生まれた興味関心。海外フィールド・リサーチで得た多くが、大学での学びの軸になっています。
国際関係学部 国際関係学科 3年次
田中 大介さん
※掲載内容は取材当時のものです。
善しあしではなく、まず認める ——。
カナダで出会った景色が、自分の原点に。
1年次に海外フィールド・リサーチで訪れたのは、カナダのグローバル都市・カルガリー。ホームステイ先は音楽好きのエチオピア人の家庭で、学校や研修先でも多人種・多民族の人々が生き生きと学び、働く姿に驚きました。
「文化が混じり合う世界って、本当にあるんだ」
この景色が忘れられず、帰国後の2年次からは、「共生コース」を選択。学びを深める中で特に印象的だったのは「評価せず承認する」ことの重要性です。文化の違う者同士が共生するために必要なのは、他国の文化を優劣で評価するのではなく、まずは認めて受け入れることが大切だということ。
例えば、僕はエチオピアの料理は日本人の口には合わないと感じたけれど、エチオピアでは昔から親しまれている味なのだから、その料理自体を否定するのはおかしいですよね。小さなことですが、そういった承認の積み重ねが、いつか人種差別やジェンダー問題の解決にもつながるのだと思います。
善しあしではなく、まず認める。そういえばカナダで出会った人たちも——、そんなふうにあの景色は、いつまでも自分の原点として、これからもあり続けるのだと思います。
国際関係学部 国際関係学科 2年次
金子 匠海さん
※掲載内容は取材当時のものです。
視野を広く遠くへ。
世界の課題を解くカギは、同じ世界のどこかにある。
1年次の冬、海外フィールド・リサーチで訪れたベトナムで出会ったのは、底抜けに優しい人たちでした。現地で私たちをサポートしてくれたバディの学生たちは、放課後に毎日のようにベトナムの街へ連れ出してくれたし、街中では日本語で気さくに話しかけてくれる人もたくさんいて。
「こんな人たちばかりの国があるんだ」と感激する一方、日本で見聞きしたベトナムの技能実習生の過酷な労働環境の問題を思い出し、どこか後ろめたくも感じていました。
帰国後、そんな課題に向き合いたくて、同じ社会主義の背景を持つハンガリーへの留学準備を始めました。
国際関係学を学ぶということは、知らない街を歩くことに似ています。最初は地図を持たず気ままに興味のある道を進んでいると、そこでとある問題に遭遇します。さらに違う道を進むと、また別の問題が転がっている。引き返して分岐点から他の道を選んでみると、実は同じ場所につながっていた…ということも。
自分の足で歩きながら、世界中に転がっているさまざまな課題や解決方法を探している感覚です。貧困や環境など、今、世界で起きている問題は、必ず同時多発的に起きている。視線は常に国境を越えて。問題解決の鍵は必ず見つかると信じています。
国際関係学部 国際関係学科 2年次
加藤 綾華さん
※掲載内容は取材当時のものです。
マレーシアで見つけた
対立を乗り越えるヒント。
1年次の終わりに、マレーシア北部のケダ州に3週間滞在しました。マレーシアといえばマレー系を中心に、中華系、インド系から成る多民族共生社会。その中で固有の文化がどのように形成されているのかを調査しました。高校時代から途上国の開発・貧困問題に関心があり、大学でも意欲的に学んでいましたが、実際に海外で得た学びはさらにリアルで、意外なものでした。
途上国では社会問題の根底に言語や宗教など異なる文化の軋轢がありますが、マレーシアではそうした対立を乗り越える1つの答えを得ることができました。現地の学生たちに話を聞くと、民族が違っても互いの料理を褒め合ったり、イスラーム教の断食明けのパーティーにみんなで参加したり。相手の文化をリスペクトし、「一緒に楽しむ」という関係性が醸成されていたのです。社会問題は暗いテーマと捉えがちですが、その解決策は想像より明るく前向きなものでした。
帰国後、新たに立てた目標は、もっと海外に出て現地の人の話を聞くこと。SNSを活用して海外の友人とのつながりを強くすること。世界に飛び出すことで学びはより深まると確信できたことこそが、「海外フィールド・リサーチ」の最大の収穫だったと思います。
国際関係学部 国際関係学科 1年次
渡辺 美琴さん
※掲載内容は取材当時のものです。
国際キャリア開発リサーチ
「発展」の本当の意味とは?カンボジアで見た現実。
入学当初から待ち望んでいた「国際キャリア開発リサーチ」への参加が実現したのは、コロナ禍が落ち着き始めた3年次の2月。カンボジアでインターンシップに参加し、食品販売ビジネスの起業に挑戦しました。私たちのグループに課せられたのは、食品販売で目標金額を達成すること。予算内なら商品も設定価格も自由です。しかしバックボーンが異なり言葉も通じないカンボジアの人々に何がハマるのか。私たちが美味しいと感じても現地の人の口には合わず、メニューを決めるだけでも大変です。その上、思うように売上が伸びず、日本語を専攻する現地の学生をアルバイトとして雇用し手伝ってもらって、ようやく目標を達成。国ごとに違う食文化や社会背景を理解することの難しさを痛感しました。
もう1つ、強烈なインパクトとして残っているのは、プノンペンの至る所にそびえ立つ建築中のビル群です。他国の投資家が進出してビルを建て始めるも、現地のニーズは少なく入居者も見つかりません。そのうち資金が枯渇し、骨組みを残したまま放り出してしまうのだとか。カンボジアの人々にそもそも高層ビルが必要なのか。本当の豊かさとは何なのか。他国の富裕層が考える手段は、必ずしもその土地で暮らす人を豊かにするとは限らず、実際に生活する人の気持ちや心を無視して「発展」はありえないと考えるきっかけになりました。カンボジアの現実を目の当たりにした今、誰もが幸せに、そして豊かに暮らせる答えを探していきたいです。
国際関係学部 国際関係学科4年次
松田 萌花さん
※掲載内容は取材当時のものです。
自分が“頑張れる場所”を見つけました。
「私が打ち込めるものってなんだろう」。そんな迷いの中で参加した国際キャリア開発リサーチ。現地(マレーシア)の大学教授がオンラインで行う授業を受講しました。マレー人の定義やロヒンギャ難民問題についてなど、マレーシアをまったく知らなかった私にとって新鮮な学びばかりでした。
なかでも印象的だったのが「宗教」について。マレーシアはさまざまな宗派が存在する多宗教国家ですが、その多くがイスラム教徒です。国籍を持てずに迫害を受けるロヒンギャ難民に対して、同じくイスラム教徒が多いという理由で、ボランティアとして救いの手を差し伸べている事実を知りました。民族が違っても、宗教が同じだからこそ助け合う。宗派による対立が起こる一方で、こんなに優しい一面もあるんだ! と、どこかマイナスに捉えていた宗教に対するイメージがガラリと変わった瞬間でした。
受講後にグループ全員で行うプレゼンテーションでも、宗教についてのまとめ役を担当しました。発表後、学部長が涙を流して「学んだことがよくわかる」と褒めてくれたことが嬉しくて。誰かと手を取り合うことで、1人では達成できない成果が生まれる。マレーシアの現状から学んだことが、プレゼンに向けて一致団結した日々と重なって胸が熱くなりました。「誰かと一緒に頑張るっていいな」。そんな些細なことですが、打ち込める“もの”ではなく“環境”に気付けたことが進路を考える上での第1になりました。
国際関係学部 国際関係学科4年次
山下 華奈さん
※掲載内容は取材当時のものです。
「10年後の自分」が浮かんできました。
国際キャリア開発リサーチは将来を考える転機になった授業です。本来なら海外へ渡航してNGOの協力のもとで現地の課題解決に挑戦するのですが、コロナ禍の影響もあってオンラインでの開催でした。
マレーシアが抱える社会問題やSDGsの取り組みなどさまざまな話を聞く中で特に心を揺さぶられたのは、多様な文化を尊重する社会の様子。マレー系、中華系、インド系など異なる民族が共に暮らす中で、「今日はインドの祝日をみんなで祝おう」という会話が普通に行われている。当たり前に異文化を受け入れる寛容な社会がなんだか素敵に思えて、自分の世界が広がることを実感しました。
10年後、自分はどうありたいか。この授業を経て、もっと世界の人と関わりを持ちたいと思うようになりました。育ってきた環境も考え方も異なるけれど、手を取り合えば地球規模の環境や社会問題を一緒に乗り越えていける。画面越しに見たあのマレーシアの社会が私の進むべき道を示してくれたように思います。
国際関係学部 国際関係学科 3年次
大塚 初音さん
※掲載内容は取材当時のものです。