令和4年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

令和4年度、外国語学部は、ポストコロナ時代に向けた教育環境の変化を見越し、自らの優位性と特色をあらためて強く打ち出すべく、COIL型教育の実現を目標に掲げ、学部全体の基盤整備を進めると同時に、各セクションがコロナ禍で蓄積したICTスキルを積極的に活用し、容易なものから着手することを目指してきた。
「学習成果実感調査」については、外国語学部は秋学期、対象科目509科目のうち490科目で調査を実施し(実施率96.3%)、履修者10,184人のうち4,762人が回答した(回答率46.8%)。オンライン授業を行った科目は春学期より3科目減って38科目だった。本年度春学期には学生の回答方法が改善され、回答率は59.7%に上昇したが、秋学期は昨年度(R3春回答率約48%、秋45.7%)と同程度の水準に戻った。本学部の回答率は今学期の全学平均(30.6%)と比べれば比較的高いものの、結果的に回答方法の改善効果が低下したのは残念である。
学部全体の傾向としては、専攻語科目、専門セミナー、研究演習など、学習テーマが明確であるか、学習の成果が目に見えやすい実習科目が大半の項目で全学平均、学部平均を上回り、学生の満足度も高かったのに対し、基幹科目では平均以下の項目が目立ち、満足度もやや低い等、従来とほぼ同様の結果であった。学習時間に注目してみると、全科目平均の学習時間は全学の平均以下で、1時間以上学習した学生は47%にとどまっている。一方で、自由記述設問には、Zoomや動画を使った課題の事前説明や補足、パワーポイントを使った課題のフィードバックを評価する記述が複数あった。またTEAMSやMoodleを活用した音声課題が継続的な発音学習に有効だとの評価も散見された。事前事後学習に関しては、シラバスだけでなく授業内での課題に関する丁寧な指導が、学習意欲や問題意識を持つのに役立っていると同時に、ICT活用の試みも進んでいることが窺える。具体的な事例を学部全体で共有することで、事前・事後学習に関連したICT活用を促進し、学生の学習意欲のさらなる向上につなげることが期待できるのではないかと考える。
ICTを活用した取り組みに対する学生の反応は自由記述設問で見ることができる。回答件数は多くないものの、設問11-1「この授業について工夫されていると思う点について具体的に書いてください」に対して、事前事後学習以外にパワーポイント、動画、Zoomを活用した授業展開、TEAMSを利用した協働などを挙げ、「わかりやすい」「楽しい」「理解に役立つ」など前向きに評価した記述が大半であった。中にはオンライン上のクイズアプリを活用した講義や「反転授業」を前提にグループワークと組み合わせた授業形式を高く評価する声もみられた。学生は、ICTを活用して授業を改善しようという教員の工夫や熱意をよく感じとっているようである。

2. 学部独自のFD活動についての報告

(1)公開授業とワークショップ

  1. 公開授業
  2. ワークショップ

実施していない

(2)その他研修会等

  • テーマ:外国語学部のICT活用及び「COIL型教育」実例報告
  • 概要:授業におけるICTの活用及び「COIL型教育」の更なる発展と課題解決を目的とし、今年度実施した実例を報告してもらい、具体的な困難や課題を共有し、さらなる推進のための意見交換を行った。発表者は以下のとおりである。
    1. 澤井志保准教授(インドネシア語)「COIL型授業を試験的に導入して見えてきた課題」
    2. 安田和彦教授(インドネシア語)「現地在住卒業生とゼミ生のオンライン交流」
    3. 平野亜也子准教授(特別英語)「COIL型授業報告Part2」
    4. 渡辺史央准教授「日本語・コミュニケーション専攻の取り組み」
  • ZOOMアカウントは、昨年度の研修で指摘を受け、すでに予算化され、COIL型授業を試行するための基盤整備が一歩すすんだが、 必要経費の予算化について、議論の必要性が見えてきた。
  • 実施日:2023(令和5)年3月1日(水)
  • 参加人数:41名

3. 総括

(1)1.と2.において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

授業におけるICT活用が一層浸透し、その工夫は学習への興味・関心の増進や授業内容の理解向上に有益であると評価されている。ICT活用の次の段階としてのCOIL型教育は、極めて限られた事例にとどまるものの、研究演習を中心に、海外の学生との協働学習や海外で活躍する卒業生の授業参加など、具体的な活動が実現した。

(2)1. と2. において確認された改善すべき点

学生の学習時間の確保が課題である。シラバスのみに頼るのではなく、授業において事前・事後学習の重要性を説明し、学習意欲や知的好奇心を高めることができるような工夫が必要である。

4. 次年度に向けての取り組み

現在の社会情勢や学生の需要により合致した学部の学びを再検討し、あらたな魅力あるカリキュラムの再構築を検討する。
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