総合生命科学部 バイオフォーラム2013 開催報告(2013.12.06)
12月6日15号館15102セミナー室において、総合生命科学部バイオフォーラムが開催された。
イスラエル国立大学、ヘブライ大学医学部Hanna Engelberg-Kulka教授が「バクテリアの2つのProgrammed Cell Death 系とその生物学的意義」と題し講演した。
プログラムされた細胞死は真核多細胞生物のみに見られるとされてきたが、かれらは1996年にバクテリアにもあることを、大腸菌MazEF toxin-antitoxin系として発見した。
この系では、安定なtoxinのMazFが、分解されやすいMazEで通常は無害化されている。オリゴペプチドNNWNNは、quorum-sensing factorの一種EDF (Extracellular Death Factor)として分泌され、配列特異的RnaseであるMazFを誘導する。MazFのRnase活性により翻訳系が、SD配列を含まないmRNAを優先して翻訳し、翻訳された未知の毒性因子により細胞集団の90%が死に10%が生き残るが、個体数の減少が、集団の生存に有利な場合に起こると考えられる。
もう一つのプログラムされた細胞死は、RecA-LexAのシステムで誘導され、集団サイズによらず個体死を招く。MazFはこの死を阻害する。第二の死の回路は、MazFを欠いて第一の回路による死を避けるcheaterの出現を防ぐと考えられる。