総合生命科学部 第4回バイオフォーラム開催報告
平成22年7月16日(金)に本学15号館15102セミナー室にて、第4回バイオフォーラムを開催しました。バイオフォーラムは、学内外問わずに生命科学分野の第一線でご活躍されている先生に講演いただき、参加者の方に最先端の研究に触れていただくことを目的として、開催しております。なお、本年は今後5回程の開催を予定しています。
春学期最後の開催となった今回の講演は、講師として、大阪大学 大学院生命機能研究科 パターン形成研究室より近藤滋教授をお招きし、講演をおこなっていただきました(要旨は下記参照)。
講演要旨
「シマウマはなぜ縞を持っているのか?」
動物は様々な模様を持っていますがそのパターンはどのようにして決まっているのでしょうか。模様のパターンは、その生物の体の構造とは独立であることが多く、発生の段階で決定されるのではなく、皮膚表面でおこる機構が有ることが予想されます。動物にみられる模様は自然界に似たようなパターンが見られ、たとえばシマウマの縞模様と砂浜に出来る風紋などは非常によく似ています。
イギリスの天才数学者アラン・チューリングは50年以上前に「動物の体は、化学反応の波が作る」という大胆な仮説を発表しました。チューリング波(反応拡散波)は、化学反応が作る波のことで、いくつかの反応が組み合わさり、ある条件を満たすと、反応物質の濃度に不均一性が生まれ、波のような繰り返しパターンが生じます。チューリング波はパラメータを変えることで様々な模様を作り出すことが可能であり、動物の様々な種類の模様にそっくりなものを作り出すことができます。50年後、実際に熱帯魚の縞模様が移動することを観察され、皮膚の模様が波で有ることが証明されました。またいったん消した模様が復活するなど動物の模様はチューリング波の特性を持っていることが明らかになりました。
さらに、色素細胞間の抑制と活性化によってチューリング波が形成されていることが示唆され、変異体を使った研究でその原因遺伝子の特定が進められているところです。