法学部

岡山地方裁判所裁判官

橋本 康平さん

2014年 法学部 法律学科 卒業

Keywords
法律、裁判官

少人数の講義で鍛えられた「法的」な思考能力

裁判官として民事事件を担当しています。民事訴訟では、訴訟を起こした原告が請求を立てて主張、立証を尽くすのですが、裁判官の役割は、原告とその相手側である被告の双方の言い分を聞いたり、提出された資料の証拠を調べたりして精査・評価し、法律を適用して、原告の請求を認めてよいかを判断します。

当然、法律が適用されるかどうかの解釈も重要ですが、実際の事件では、事実認定の能力が実はとても大事です。というのも、法律はあくまでルールに過ぎないわけで、事実が変われば、結論も変わります。民事の場合はお金のトラブルだったりするのですが、本当にお金を貸したのか、返したのか、返していないのか、一般常識で判断するのではなく、証拠から事実を認定し、法律や経験則に照らして、適切に評価する力が求められます。そのため知識の修得はもちろん、事件処理を通じ、世の中の変化にも合わせて、経験則(考え方)をアップデートしていく必要があります。例えば、最近ではビットコインの取引に関する知識も必要でしょう。

事実を調査する能力、事例に関するアプローチの仕方、思考方法は、京都産業大学の少人数での講義やゼミなどでかなり鍛えられたと感じています。授業では、判例をベースにした事案について、2チームに分かれて調べるのですが、さまざまな学者の論文を読んで、どれだけ理解を厚くできるかがポイントです。ときには成功体験になったり、逆にうまく調べられなかったり、次はこうやって調べてみようという学びになりました。そうした積み重ねは、間違いなく、現在の仕事の素地になっています。

裁判官としての醍醐味は、自分が持っている能力を使い、みんなでアイデアを出し合い、1つの紛争を解決することです。例えば、判決では、分割払いが認められていないのですが、そこに裁判官が関与して、分割払いにして和解に導くこともあります。判決にせよ、和解にせよ、1つの事件が決着するのは、社会にとっても良いことだと思います。



在学生へのメッセージ!

小さい時に警察官になりたいという気持ちはありましたが、法学部を選んだ明確な理由はありませんでした。しかし、せっかく大学に来たのだからいろいろと挑戦できることがあるのではと思い、1年次生の後期に法律の勉強に力を入れた時期がありました。それがきっかけで勉強が面白くなり、3年次生から本格的に司法試験を目指すことに。法律を深く学びたい人向けの入口としてのカリキュラムも用意されているなど、さまざまな選択肢があるのが、京都産業大学の良いところだと思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

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