総合生命科学部 第7回 バイオフォーラム2012

2012.12.17

 12月17日、本学15号館にて第7回 バイオフォーラム2012が行われた。

 バイオフォーラムは、生命科学分野の第一線で活躍している国内外の大学教員や研究者の講演により、学生だけでなく一般市民に最先端の研究に触れてもらうことを目的に開催している。今回は「脱二重らせんの発想から生まれる新しい機能性核酸の発見」をテーマに甲南大学先端生命工学研究所(FIBER)所長でフロンティアサイエンス学部(FIRST)教授の杉本 直己教授が講演を行った。

 杉本教授は始めに、物理化学の分野で学位取得後、量子トンネル効果におけるカクサン(拡散)から生命の源であるカクサン(核酸)に研究対象を大きく変えたことをユーモラスに紹介した。また、RNAの触媒機能への強い興味がノーベル賞受賞研究者の重要な発見の基盤となる発見に繋がったなど印象的な話を続けた。

 最近の成果の中から、二重鎖核酸において塩基対間の水素結合と塩基環どうしのスタッキング効果が拮抗しつつ、二重鎖のほどよい強度を生み出していること、DNAの1塩基を改変することにより、相補的RNA鎖の特定部位での切断を誘起できることなどを語った杉本教授は、細胞内では生体高分子の濃度が極めて高いことを考慮に入れる必要があり、そのような条件では、核酸がWatson-Crick型の塩基対形成による二重鎖以外の高次構造をとることを示し、その生物学的意義を解明することの重要さを指摘した。

 物理化学に根ざした生体分子のオリジナルな研究を強力に進める研究姿勢が強烈なインパクトを与えた講演会となった。
講演を行った杉本 直己教授
専門的ながらもユーモラスな講演に聞き入る参加者
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