F工房設立の経緯

F工房の母体となったキャリア形成支援科目の開講

本学は2005(平成17)年度秋学期から、低単位の状態に置かれ大学での勉学に対する意欲が低下していると思われる学生層に向けてキャリア形成支援科目を開講しています。当該学生層が自己像の獲得と職業世界への目線づくりのための作業を進め、将来の自己像に向けて何らかの行動を起こすに至るプロセスを支援することを目的とした正課の教育プログラム「キャリア・Re-デザインI」がそれで、受講生100~120名に対し、教員5名、ファシリテータ10~15名、社会人インタビュイー10名が授業運営にあたり、毎回の授業終了後に「振り返り」を行い、そこで明らかとなった課題は学期末に開催するファシリテータ研修会およびファシリテーション研究会において検討されます。この取組は国内外の学会で報告され、大きなインパクトをもたらしています。

科目運営を通して得られた知見

開講以来4年が経過し、上記科目を運営する中で得られたデータから、低単位状態を引き起こす因子として以下の4点が指摘されました。
  1. 大学進学という選択に対する他律感、そこから派生する学部教育とのミスマッチ
  2. 有能感の欠如
  3. 社会に対する興味の欠如、およびそこから派生するステロタイプな社会認識
  4. 社会経験則の不足、葛藤の不足およびそこから派生する価値観の閉塞
授業終了後のアンケート調査や個人面談の分析の結果、以下のような知見を得ました。
  1. 社会人ファシリテータやインタビュイーとの接触がステロタイプな社会認識を緩和するのに有効である
  2. グループワークにおける小さな成功体験およびファシリテータからのフィードバックが有能感の醸成に有効である
  3. 合宿やグループワークでの自己開示をふまえた人間関係づくりが内発的モチベーションを補完する

ファシリテーションの有効性

以上のような「キャリア・Re-デザインI」における経験から、多様な学生層を支援するにあたり、個としての学生を活性化し自律を促すうえでファシリテーションのスキルが極めて効果的であることを学びました。そこで学生支援の領域で「F工房」プロジェクトを立ち上げ、FD/SDを射程に入れつつ取組を推進していくことで、キャリア形成支援科目受講生の枠を超えるすべての学生層に向けてファシリテーションを織り込んだプログラムを提供することを企画しました。そして2008(平成20)年度文部科学省学生支援GPに採択され、2009(平成21)年4月に「F工房」を開設しました。学生支援領域全体にファシリテータマインドが浸透していくことで、対象層における個の活性化と自律への促しが促進されることが期待されています。
PAGE TOP