ピックアップ研究室

「細胞増殖因子の及ぼすがん悪性化機構の解明」 生命システム学科 瀬尾 美鈴 教授

企業と共同研究で患者さんの体に負担をかけないがん治療薬を開発する

体の中には「細胞増殖因子」という、細胞の分裂を促す信号を発するタンパク質が存在します。通常は、体が成長するためなど、必要な時にだけその信号が発信されますが、がんを発症すると信号が発信され続けて体の中で細胞の増殖が止まらなくなり、がんが悪性化してしまうのです。治療には、抗がん剤によって細胞の増殖自体を止める必要がありますが、抗がん剤によって細胞の増殖も止めてしまうため、体に大きな負担がかかってしまいます。血管・神経生物学研究室では、企業と合同で、異常な増殖だけを止め、患者さんの体に負担をかけない「分子標的薬」の開発に取組んでいます。実際にがん細胞を培養し、細胞増殖因子との反応を顕微鏡で観察するなど、がんが悪性化するメカニズムの解明につとめ、薬の開発に貢献する研究を進めています。
培養室で培養した細胞をシャーレに移し、抗がん剤を投与。その反応を、細胞を生きたまま観察できる位相差顕微鏡で観察する
観察や実験の準備は、空気中を浮遊する微生物などの影響が出ないよう、クリーンベンチ内で行われる

「環境による植物の表現型可塑性の研究」生命資源環境学科 木村 成介 教授

最新機器を用いて植物の形が持つ多様性の神秘に迫る

地球上に存在する生き物の多様な形。植物生態進化発生学研究室では、その中でも植物の葉の形の多様性に注目し、研究を進めています。「ロリッパ」という水生植物は、その生育環境に応じて葉の形が大きく変化します。陸上では、効率よく光合成を行うために大きく丸い葉が発生するのに対し、水中では、水の抵抗を軽減するために針状の形の葉が発生します。このような変化にはDNAのはたらき方の違いが関係しています。研究室では、「次世代シーケンサー」という最新機器を使って、実際にいろいろな環境で育てたロリッパを分析します。この機械は、これまでは10年以上かかるようなDNAの読み込みを、たった2、3日で遂行してしまう最先端の装置で、実験の速度を飛躍的に加速させています。この研究で、形の変化が生まれる原因を解明できれば、植物の品種改良などに貢献できると考えています。
実験で扱う植物は研究室内で育てられており、世話は学生たちが日替わりで担当している
環境により葉の形の違いを見せる「ロリッパ」。左が水中で育ったもので、右が陸上で育ったもの

「細胞内タンパク質の品質管理機構」 生命システム学科 永田 和宏 教授

自分たちが発見した タンパク質の機能を解明し
新たな治療法の確立へ

細胞内のタンパク質に変性が起きると、それらは凝集塊となり、アルツハイマー病などの神経変性疾患や、動脈硬化症などの線維化疾患をはじめ、さまざまの病変を誘発。細胞には、それらを適正に処理する、巧妙な品質管理のような機構が備わっています。私の研究室では、そのメカニズムに注目し、品質管理の過程に関与する重要なタンパク質を数々発見。それらの機能を明らかにし、新たな治療法などの追究へとつながる基盤を築いています。対象とするのは、あくまでも自分たちが見つけた新しいタンパク質。世界の誰もが答えを持っていない問題に取り組み、ディスカッションを通じて推論を深め、未知なるものを明らかにする。まさにサイエンスの喜びが体感できる研究を進めています。

「昆虫の機能利用/絶滅危惧種の保全」 生命資源環境学科 高橋 純一 准教授

人類を救う可能性を秘めたミツバチの品種改良に挑む

イチゴやトマトなど、多くの農産物の生産に欠かすことのできない存在。それがミツバチやマルハナバチといった、花粉交配を行ってくれる昆虫たちです。私たちが取り組んでいるのは、より使いやすく、より安全な新品種ミツバチの開発。ハウス栽培農家と提携し、生産過程を見たり収穫を体験したりしながら、それぞれの農産物に適した品種の実用化をめざしています。また、絶滅が危惧される生物種の保全も重要な研究分野。動物園や水族館の飼育員とともに、ペンギンやイルカなどの自家繁殖効果を高める研究も進めています。いずれも、食料不足の改善や環境保全につながる、とてもやりがいのあるテーマです。研究を通して身に付けた知識や技術を活かす道は、大きく広がっています。

「動物神経科学」 動物生命医科学科 加藤 啓子 教授

チョコレートが安を和らげる? その原因と効果を探る

チョコレートや肉、乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸。私の研究室では、マウスを使った実験を通して、この飽和脂肪酸が恐怖や不安の記憶を和らげることを発見しました。「健常なマウス」と「うつ・不安症を示すマウス」を、不安や恐怖を感じる状況下にそれぞれ置き、与えた餌の種類によってどのような違いが生まれるかを調査。飽和脂肪酸を多く含む餌を食べ続けると、健常なマウスは恐怖を感じた空間の記憶が薄らぎ、うつ病のマウスは恐怖を感じたときに聞いた音への記憶が軽減することがわかりました。この現象の詳しいメカニズムを解明することで、てんかんやうつ・不安症といった神経精神疾患の新たな治療薬開発につなげていければと考えています。

「タバコ煙と免疫とがんと天然成分を科学する」 動物生命医科学科 竹内 実 教授

ハチミツの成分が喫煙によって低下した免疫機能を回復させる

肺に存在する免疫細胞である「肺胞マク口ファージ」は、外気に含まれる細菌を取込み、体が病気になるのを防ぐ役割を担っています。しかしタバコの煙には、マクロファージが処理できない化学物質が含まれ、喫煙によってマクロファージの機能が低下すると、細菌や発がん性物質を処理できなくなります。免疫病理学研究室では、天然成分であるハチミツに、低下したマクロファージの機能を回復する効果があることを発見しました。自動喫煙装置によってタバコの煙を吸わせたマウスを用いた実験で、ハチミツに含まれるどの成分が機能回復に役立っているのかを検証。気管支肺胞洗浄法により、採取した免疫細胞にハチミツを添加したり、経口投与でマウスにハチミツを与えたりすることで免疫機能を回復させ、機能回復に役立った成分を特定し、新薬の開発をめざしています。
肺がん細胞とマク口ファージ、好中球などの免疫細胞を用いて、試験管内でハチミツの効果を検証
研究室では、学生たちがミツパチを飼育し、採蜜在行っている。採れたハチミツは年度・時期ごとに分類・保存されている
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