教員・研究テーマ一覧

研究テーマ・教員紹介

生命の誕生と死の双方に作用する分子機構の研究を通し再生医療の未来をさまざまな形で拓く人材を育てたい

アフリカツメガエル(雌)体内の卵巣に蓄えられている卵母細胞

現在私は2つの研究に取り組んでいます。1つは受精卵が発生段階で体を形成するメカニズムの、もう1つはがん細胞が持つ生物学的機能の研究です。いわば生命の誕生と死に関わる研究であり、これらは一見無関係に思えるかもしれませんが、実は正常細胞のがん化を引き起こす「がん遺伝子」の、機能変異前の姿「原がん遺伝子」は、受精卵の発生メカニズムにも関与することがわかっています。このような分子機構の研究を通して、例えば再生医療分野で注目されているiPS細胞やES細胞をより安全に、かつ効果的に活用するための重要な発見、知識を得られることでしょう。これらの成果をさまざまな形で社会に還元できる、「職業人」たる生命科学のスペシャリストを、みなさんには目指してほしいと思います。

最新機器を用いて植物の形が持つ多様性の神秘に迫る

環境によって姿を変えるロリッパの葉
(左)空気中25°C、(中央)空気中20°C、(右)水中

植物の葉の形に注目した研究を進めています。たとえば、生育環境に応じて葉の形が変化する植物「ロリッパ」。陸上では効率良く光合成を行うために丸い葉が、水中では水の抵抗を弱めるために針状の形の葉が発生します。このような変化には、DNAのはたらきが関係しています。研究室では、今まで10年以上かかっていたDNA解析をたった2、3日で遂行する「次世代シーケンサー」などを用いて実験を進め、変化が生まれる原因を追究。植物の品種改良などにつながる研究を進めています。研究過程においては企業や他大学と連携をとる機会も多く、実社会ではどのような能力が求められるのかを肌で学ぶことができます。生命科学の専門知識とともに社会への意識を育むことで、研究職や教育現場など、あらゆるステージで活躍できる人材を育成します。

葉の形態の多様性と表現型可塑性の研究

北米原産の半水生植物のRorippa aquaticaは、生育環境に応じて発生する葉の形を大きく変化させます。この性質を表型可塑性といい、次世代シークエンスという最先端の技術を利用して、環境変化を感じとり、葉の形を変化させるしくみを遺伝子レベルで調べています。

生殖細胞とがん細胞の生物学的機能の研究

アフリカツメガエルの生殖細胞(卵と精子)の生物学的機能、特に受精時に卵と精子が相互作用した時に起こる発生開始の分子メカニズムを研究しています。また、ヒトの培養がん細胞を使って、その生物学的機能や細胞死抵抗性の分子メカニズムを研究しています。

神経発生に関わる糖転移酵素の機能解析

動物と人の双方に感染する細菌は、人獣共通感染症などを引き起こす可能性があります。同じ病原体が引き起こす疾病であっても、人と動物ではその症状が異なることがあります。この研究室では、これらの細菌が、どのようなしくみで人や動物に感染し、病気を引き起こすのかを研究しています。

高等植物のオルガネラゲノムおよび遺伝子に関する研究

タバコやレタスの葉緑体ゲノム(DNA)へ新しい遺伝子を導入し、ストレスに強い植物や機能性を高めた植物を作出する研究をしています。また、ダイコンやコムギのミトコンドリアゲルにある雄性不稔原因遺伝子の働きや進化についても研究しています。

国内産マルハナバチの高授粉能力系統の作出

ハウスでのトマト栽培などで授粉用に欠かせないマルハナバチ。日本のマルハナバチが減少して生態系が壊れつつある近年、牛や豚などの品種改良の技術で国内産のマルハナバチの授粉能力を高め、ハウスでの授粉用昆虫として利用できるよう研究を進めています。

脳機能を生み出すシナプスの構築機構

シナプスは神経細胞の間の接続部で、神経伝達を行うことで脳機能を生む重要な装置です。シナプスには、シナプス間隙とよばれる「すきま」があり、そこにある新たな分子や未知の現象を探究することにより、新しいシナプス像の構築を目指しています。

節足動物が伝達する感染症は如何に起こるか

病原体をヒトや動物に感染させ病気を引き起こす蚊やダニなどの節足動物。私たちの身の回りにどれだけ存在し、どんな病原体を保有しているかをマクロのレべルで調査し、病原体の感染経路や感染メカニズムについてミクロのレべルで研究しています。

生命科学×社会科学の研究

生命科学の3分野の課題に、社会科学の視点で挑む

「医療と健康」分野

今日の社会は、再生医療、iPS細胞、クローン技術、遺伝子検査、ゲノム編集など、生命科学に関わるニュースであふれています。生命科学の研究成果は、生命現象の解明にとどまらず、医療技術や食物生産の向上など社会・産業と密接に関係しています。また同時に、生命科学の発展は、生命倫理や遺伝子組換え植物の利用などの、新たな生命観や社会的課題もうみだしています。
本学科では、生命科学の社会的・文化的側面に着目し、生命科学の営みを社会科学の視点も交えて調査。生命科学の研究成果をどのように社会に還元し、産業界で活用するのかを研究します。科学技術の開発や科学政策に研究者や専門家だけでなく、一般の人々のさまざまな意見を反映し協働するためのしくみづくりにも取り組みます。

「食と農」分野

私たちの生活は、農作物などの食料や、工業原料、医薬品など、多様な生物資源により成り立っています。将来にわたり、このような生物資源を利用していくためには、「生態系」「生物種」「遺伝子」といったさまざまなレべルでの多様性の保全が必要であり、その持続可能な利用のあり方の解明が求められます。その実現に向け、人間活動と地域がどう関わっているのかを理解し、有効な社会システムを検討することも大事な課題となります。
本学科では、こうした観点から、生物資源としての食と農に注目し、社会科学的なアプローチにより、地域生産物の価値の創出、生物多様性保全、地域資源循環圏の構築といった研究に取り組みます。

「環境と社会」分野

地球上の生命には、生物多様性の維持が必要です。地下部の微生物群と地上部の植物や昆虫との生物間の相互作用が、多様性の維持に重要なはたらきをしています。一方で、都市開発などにより、里山などの自然環境の破壊が大きな社会問題となっています。本学科では、生態学の知識と技術に環境経済学の考えを取り入れて、農村、山村、漁村の経済活動、里山の生物多様性、都市の生物多様性などを指標にして、自然環境政策について研究します。さらに、生物多様性の維持には、防災・減災・地方活性化など社会が抱える問題と結びつけた活動が重要であることに着目して、生態系の維持と災害リスクの軽減などを組み込んだ新たな政策概念を提唱します。
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