総合生命科学部シンポジウム「先端医科学研究-新たな医療への歩みを知る」開催

2018.02.04

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イベント公開講座総合生命科学部
今日、病の発症するしくみを分子レベルまで掘り下げて解析できるようになりましたが、一方では、ヒトや動物への負担の少ない診断法や治療法が求められており、個体レベルでの医科学研究の重要性が再び増しています。このシンポジウムでは、高い関心が寄せられているいくつかの疾病について、それぞれの専門分野で精力的に研究されている3名の外部講演者をお招きし、最新の研究成果を交えてお話いただきます。

講演1 「光で見る脳機能-光トポグラフィーの衝撃」

自治医科大学名誉教授・客員教授 渡辺 英寿 先生

近赤外光(可視光より波長が長い光、700~1000 nm)を用いて、Jöbsis 博士は動物の心臓や脳の酸素化状態を非侵襲的に計測できることを示しました(1977年)。この計測法は、酸素化の程度によりヘモグロビンの吸収波長が異なるという原理に基づいていますが、血流・酸素代謝モニター法としての近赤外分光法(near-infrared spectroscopy;NIRS)や近赤外光を用いた新しい脳機能イメージング法を開発する礎となりました。現在、近赤外光を用いた大脳皮質の機能的マッピング(光トポグラフィー)が可能であり、精神疾患の臨床検査、てんかん焦点の同定などにおいて広く臨床応用されています。ただ、NIRS計測は頭皮上で行われるため、入射から受光までの光路長や皮膚血流の影響は不明なままです。本講演では、最近行っているミニブタの脳を用いたNIRSデータ検証などについても合わせて解説します。

講演2「糖尿病体質と疾患の克服」

関西学院大学保健館分室 診療長(管理医師) 上田 裕紀 先生

糖尿病とは、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群です。1型糖尿病では、インスリンを合成・分泌する膵β細胞の破壊・消失がインスリン作用不足の主要な原因で、遺伝因子とウイルス感染などの環境因子が複雑に相互作用して発症します。2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす遺伝因子に、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症します。最近のゲノム医学の進歩により、科学的には闇の、一般的に体質と呼ばれる遺伝素因の本体が解明されてきています。また、糖尿病の根治を目指して、多分化能を有する幹細胞からの膵β細胞への分化誘導が試みられています。本講演では、特に1型糖尿病を中心に体質から病態解明、糖尿病の根治療法に向けた最新の医科学研究を紹介します。

講演3「ダイレクト・リプログラミングが拓く再生医療の可能性」

京都府立医科大学大学院 医学研究科 教授 松田 修 先生

ダイレクト・リプログラミング(ダイレクト・コンヴァージョン)は、ヒトの体細胞を他の組織細胞に直接変える技術です。患者あるいはドナーから低侵襲で採取できる細胞から、高機能で腫瘍化リスクが低い、移植用の細胞を作り出せると考えられます。我々は、ヒト線維芽細胞から高い効率で骨芽細胞に誘導できることを見出しました。得られた骨芽細胞は、正常な骨芽細胞に類似し、石灰化骨基質を多量に産生します。また免疫不全マウスの大腿骨に骨欠損を作成してその欠損部に移植すると骨再生を著明に促進しました。さらに誘導法を工夫することで、染色体への外来遺伝子配列の挿入がない骨芽細胞も作り出すこともできました。一方、ヒト線維芽細胞から褐色脂肪細胞やシュワン細胞も、それぞれ直接誘導できることを示しました。これらの技術は、将来的には骨疾患、代謝疾患、神経疾患等に対する再生医療に応用する可能性が期待されます。

講演4「“喫煙を科学する” ~ 免疫からのアプローチ ~」

京都産業大学 総合生命科学部 教授 竹内 実

肺は呼吸により大気中の病原性微生物、健康と環境問題で取り上げられている微小粒子状物質(PM2.5)など様々な異物を取り込み、絶えず外気と接触している特殊な臓器です。肺には免疫細胞である肺胞マクロファージが常在し、肺を病気から守っています。このPM2.5を含むタバコ煙に着目し、喫煙による免疫細胞への影響と肺癌など喫煙関連肺疾患発症の分子機構について、“喫煙を科学”しています。喫煙により、“肺胞マクロファージ”は、タバコ煙の真っ黒い炭素粒子を取り込み“肺胞真っ黒ファージ”へと変化しました。この肺胞マクロファージは活性酸素を過剰に産生し、活性酸素により肺胞マクロファージのDNA損傷が生じましたが、その後DNA損傷は自然に修復されました。しかし、修復された肺胞マクロファージは抗原提示作用などの免疫機能が傷害されており、癌増殖を促進する異常な肺胞マクロファージへと変化していました。また、Bリンパ球の抗体産生機能も抑制されました。喫煙により過剰な活性酸素を産生し免疫機能の低下した異常な肺胞マクロファージの出現が、感染、肺癌の発生や増殖、喫煙関連肺疾患の発症と関連している可能性が示唆されました。

日時 2018年2月27日(火)13:30~17:20 (12:30開場)
場所 京都産業大学 むすびわざ館2階大ホール(交通アクセス
京都市下京区中堂寺命婦町1-10
むすびわざ館には駐車場はございません。お車でお越しの際は、近隣の有料駐車場をご利用ください。
定員 300名(先着順)
申込 事前申込不要、当日会場にお越しください
参加費 無料
お問い合わせ先
京都産業大学 総合生命科学部事務室
〒603-8555 京都市北区上賀茂本山
Tel.075-705-1466 Fax.075-705-1914

総合生命科学部事務室 窓口取扱時間
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