教職員の方へ/障害とは?

障害の定義

障害は、心身の機能の制限(機能障害)のある人が、日常生活・社会生活を妨げる様々な社会的障壁に直面することで生まれます。見えない、聴こえない、歩けない、漢字が読めない、同時作業が難しい、気持ちが安定しない…。「障害」と聞くとそうした様々な個人の心身の機能の制限(機能障害)を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、それだけで「障害」が生まれるのではありません。我が国が2014年に批准した「障害のある人の権利に関する条約」には、以下のように示されています。

 障害が機能障害〔インペアメント〕のある人と態度及び環境に関する障壁との相互作用であって、機能障害のある人が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものから生ずることを認め……(国連「障害のある人の権利に関する条約」前文、川島聡=長瀬修仮訳(2008年))

障害はどう生まれるか

耳の聴こえない学生を例に考えてみます。聴こえない学生が授業の内容が分からないとしたら、それはなぜでしょう。その人の耳が不自由だからでしょうか。聴こえない人は、聴こえるようにならなければ大学で学べないのでしょうか。
本学では、聴こえない学生が聴こえる学生と一緒に学んでいます。授業の内容(教員の講義、学生の発言等)をパソコンで文字にして伝える「パソコンテイク」を利用することで、授業の内容を理解しているのです。このパソコンテイクを行う学生サポーターにとって、授業の進行と同時にその内容を漏らさずパソコンに入力して伝えることは、決して簡単ではありません。そこで、授業内容の詳細を記入したレジュメ・資料があれば、あるいは講義が早口になりすぎないように教員が心がければ、学生サポーターはより高い精度で文字での通訳ができるようになります。ビデオ教材を使用する場合、使用教材が早目に確定すれば、授業前に障害学生教育支援センターでその音声を予め文字化しておくことができ、聴こえない学生により確実に内容を伝えられるようになります。
このように、教職員その他関係者の理解・協力も含めて、音声以外の手段で情報の伝達ができる環境が整えば、聴こえない学生も授業の内容を理解することができます。逆に、聴こえない学生にとっては、そうした種々の環境が整っていない状態こそ、学ぶことを妨げられる「障壁」となり、その障壁に直面することで「障害」が生まれるのです。以上は耳の聴こえない学生の例ですが、その他の機能障害のある学生についても、同じようなことが言えます。

国内政策における障害の考え方

こうした「障害」の考え方は、我が国の障害者政策にも反映されつつあります。たとえば、障害者基本法には以下のように示されています。

第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一.障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二.社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。(障害者基本法)

また、障がい学生支援に関して大学等が取り組むべき課題を示した文部科学省の「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)」も、こうした「障害」の考え方に基づき取りまとめられています。

本検討会において検討対象とする「障害のある学生」の範囲は、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある学生」を対象とした。(文部科学省「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第1次まとめ)」2012年)

障害=機能障害×社会的障壁

 「障害」は心身の機能の制限(機能障害)のある人だけの問題ではありません。大学の、引いては社会全体の問題として「障害」を受け止め、私たち一人一人が日々のそれぞれの取組のなかで「障壁」を取り除いていくことが必要です。その積み重ねが、差別や排除のない共生社会へと繋がっていくと言えるでしょう。

参考資料

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